ビジネス課題を解決するための指標を考える〜Cスコア編〜

はじめに

データサイエンティストをしている曽我です。

弊社ではテレビ番組やテレビCMの見られ方に関して様々なデータを取得しています。

取得したデータからビジネス課題を解決するために指標を作りクライアントへ提供をしている会社になります。

指標には様々な種類があり、注視度(テレビへ人の顔が向けられていたか)が最たる例になります。

今回はその中でもCスコア(クリエイティブスコア)について触れていきます。

他にどんな指標があるのか興味を持たれましたら弊社HPよりお問い合わせください。

ビジネス課題とCスコアの生まれた背景

テレビCMの注視を測定していると1つの課題が出てきます。

それはクリエイティブ(CMで流れている映像)の良さを表すことができないだろうかという課題でした。

なぜクリエイティブの良さを測定したいかについてですが、ここに2つのCMがあるとします。

  • プライム帯(19-23時)に放送されたCM
  • 深夜の26時に放送されたCM

放送された時間帯の異なる2つのCMを「注視」で比較して良いのでしょうか。

なんとなくプライム帯と深夜では注視度の傾向が違いそうだと思いませんか?

放送された時間帯など異なる条件の中でクリエイティブの純粋な良さを測定、比較するために生まれたのがCスコアになります。

Cスコアとは

前述のように、注視の値はクリエイティブ自体の良さと枠の2つの要因が混ざりあった結果として出てきます。そのため、実際の注視を以下のように定義することができます。

実際の注視 = クリエイティブの良さ × 枠ポテンシャル(CM枠自体の良さ)

クリエイティブの良さは上式を変形した以下で計算できます

クリエイティブの良さ = 実際の注視 ÷ 枠ポテンシャル(CM枠自体の良さ)

※実際にCスコアを計算する際は100を掛けてることで、100を基準値としています。

CM枠とポテンシャル

CM枠というのは番組本編とは別にCMを流すために用意された時間となっており、何本か連続でCMが放送れます。

CM枠のポテンシャルの計算ですが枠の構成要素である

  • 放送局
  • 曜日
  • 時間
  • CM枠の中で1番目に放送されたか否か

これらの平均的な注視を枠ポテンシャルと定義します。

これでクリエイティブの良さ(Cスコア)を測定することができるようになりました。

実際に計算されたCスコアをどう使ってるか

例として2つのCMを出してみます

  • CM_1
    • 枠の平均注視が100のCM枠に放送され、注視は90であった
    • よってCスコアは 90 / 100 * 100 = 90 となる
  • CM_2
    • 枠の平均注視が20のCM枠に放送され、注視は24であった
    • よってCスコアは 24 / 20 * 100 = 120 となる

注視だけでみるとCM_1の方が良いですが、 これはCM_1が流れた枠がCM_2と比べてかなり良かったのでクリエイティブと枠の影響が混ざりあってCM_1の注視が高く出ていると考えられます。そのため、枠の影響を除外して計算するとCスコアはCM_2の方が高いためクリエイティブが良いと言えそうです。

このようにCMが流れている枠に左右されない純粋なクリエイティブの見られ方を評価することができます。

実際にある期間で集計したCスコアのランキングが以下となります。

Cスコアをさらに活用することでクリエイティブの良し悪しがどういった要素 (タレントキャスティング、サウンドエフェクト、BGM等) から生まれているのかを深堀り分析することもできます。

また、個人全体だけではなく男性10代、女性30代のように細かなセグメントに分けたCスコアや毎秒のCスコアなど、より詳細を閲覧可能なツールとしてtelescopeを提供しています。

セグメント別 Cスコア、毎秒Cスコアがいつでも閲覧可能なTelescope

「Telescope」はTVISIONが提供するブランドポジションをトラッキングするためのBIツールです。

テレビデータへのエントリーツールとして、アカウント登録後すぐに、より詳細なセグメント別Cスコア、毎秒Cスコアを確認することができます。

セグメント別Cスコアではクリエイティブがターゲット層に注視されているかを評価することができ、毎秒CスコアではCMが見られたか/見れていない瞬間がわかり、次のクリエイティブ制作に活用することができます。

telescope.tvisioninsights.co.jp

まとめ

Cスコア (クリエイティブ・スコア) はテレビCMのクリエイティブに関してCMが放送された時間帯の影響を排除し、クリエイティブの純粋な見られ方を評価することができる指標となります。

このように、弊社が独自に取得している「注視データ」を起点に様々なことがわかる指標を作成することができます。

「注視」に関して研究や展開できることは多くあると考えており、研究開発やビジネス課題を解決するメンバーを募集しています。

私達と一緒にメディアマーケットを圧倒的に進化させていきましょう!

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